民泊業界において、M&A(企業の合併・買収)市場が拡大しています。

2024年6月から9月にかけて、M&A仲介サイトTranbiの「簡易宿泊施設・民泊のM&A案件一覧
に掲載されている民泊案件数は、206件から234件へと約13%増加しました。

この増加は、民泊業界への参入や事業拡大を検討している方々にとって、
M&Aが有力な選択肢となっていることを示しています。

M&Aが民泊業界で注目される理由

民泊物件の取得競争が激化する中、既存の民泊事業をM&Aで取得することは、
迅速に市場参入や事業拡大を実現する方法として注目されています。
特に、物件探しや許認可取得の時間を短縮できる点が大きなメリットです。

良質な案件を見極めるポイント

一般的に、M&A案件の中で優良なものは約2〜3%と言われています。
弊社代表の長坂の友人(投資のプロであるPEファンド社長)が、そのような話を長坂にしたそうです。
そのため、多くの案件を精査し、慎重に選ぶことが重要です。

ではどう、慎重に良い案件を見極めればいいのか。
数学的に正しい民泊開業物件の探し方はこちらです。
また、数学的に正しい方法以外の視点を以下にご案内します。

おすすめのM&A仲介サイト

アンケート結果によると、「Tranbi」が民泊M&Aのプラットフォームとして高い支持を得ています。

実際、2024年9月18日時点で、Tranbi(240件)の方が、Batonz(197件)より掲載案件数が43件多いです。

Tranbi:

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Batonz:

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適正な買収価格の考え方

民泊のM&Aでは、通常、年間のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の2〜3倍が適正な買収価格とされています。

例えば、年間EBITDAが120万円の物件であれば、240万〜360万円が目安です。
価格が安すぎる場合は、物件や事業に欠陥がないか注意深く調査しましょう。

デューデリジェンスの重要性

買収を検討する際は、以下の点を確認することが不可欠です:

  • 営業実績の確認:AirbnbやBooking.comなどのOTA(オンライン旅行代理店)のアカウントにアクセスし、
    過去の売上データを直接確認します。
    売り手が出すエクセルシートだけでは信頼性に欠けるため、実際のデータを見ることが重要です。

  • 許認可の確認:保健所で民泊許可の引き継ぎが可能か確認します。
    また、転貸物件の場合は、物件オーナーから引き続き民泊運営の許可を得られるか確認が必要です。

成功事例の紹介

弊社は、2015年から2018年まで民泊事業をしていました。

2018年に年間営業利益300万円の民泊運営権を1000万円で売却した経験があります。

この際、買収者との交渉は慎重に行い、買収者とのミーティングは録音し、
言った言わないというリスクを回避し、適正な価格での売却を実現しました。

当時は、民泊のM&Aの専門家やTranbiのようなサイトを活用することは一般的でなく、
自分で買収者をXで募集して探しました。

自走できる民泊は買い手に高い価値を提供する

民泊業界において、自走できる民泊は買い手から高い評価を受けています。
これは、事業運営が既に仕組み化されており、買収後もスムーズに運営を継続できるからです。

自走できる民泊の特徴

  1. 受付業務の外注化:メールや電話でのゲスト対応が外部業者に委託されている。

  2. 清掃業務の外注化:客室の清掃やリネン交換などが専門業者によって行われている。

  3. 緊急対応体制の整備:緊急時の駆けつけやトラブル対応の仕組みが確立されている。

これらの体制が整っていることで、買い手は新たに外注先を探す必要がなく、事業運営に専念できます。

属人化したサービスのリスク

一方、サービスが売り手個人に依存している場合、民泊事業の価値は下がります。
例えば、オーナー自身が毎回ゲストを無料で飲食店に案内し、
一緒に食事をすることで高い口コミ評価を維持しているケースです。

  • 再現性の低さ:買い手が同様のサービスを提供するのは難しく、事業継続に支障をきたす可能性があります。

  • 価値の低下:サービスが属人化していると、買収後の業績が不透明になり、事業の評価額が下がる傾向にあります。

売却を検討する際の注意点

民泊事業の売却を考えている場合、以下の点に注意しましょう。

  • 業務の標準化:マニュアルやシステムを整備し、誰でも運営できる体制を構築する。

  • 外注先の確保:主要な業務を信頼できる外部業者に委託し、その契約を引き継げるようにする。

  • 属人化の排除:個人のスキルや人間関係に依存しないサービス提供を目指す。

これにより、買い手にとって魅力的な物件となり、スムーズな売却が可能になります。

*自走できる民泊は買い手に高い価値を提供する の内容は、濱口さん(Xアカウント 濱口さんの会社)から教えていただいた内容です。

専門家への相談を検討する

民泊M&Aは専門的な知識が求められるため、以下の専門家への相談をおすすめします:

まとめ

民泊業界でのM&Aは、市場参入や事業拡大の有効な手段として注目されています。

しかし、成功するためには適正な価格設定や慎重なデューデリジェンスが不可欠です。

信頼できる仲介サイトや専門家を活用し、情報を正確に把握することで、リスクを最小限に抑えた取引を目指しましょう。