「東京で民泊を始めてみようかな?」
「追加で物件を探してみようかな?」

とお考えのみなさん。東京23区内の民泊の分布はご存じですか。

とりあえず駅近の安い物件を…と探していても埒が明きません。

まず、狙うべきはズバリ、目黒区です!

民泊数、1位は新宿区・最下位は千代田区

観光庁の最新のデータ(2024年1月15日現在)によると、

東京23区の民泊(住宅宿泊事業)の届出件数は13,448件でした。

全国の総届出件数が37,189件。

つまり、日本の民泊の3件に1件以上が23区に集中していることになります。

かなりの激戦区です。

グラフで区ごとの届出件数をみてみましょう。

「住宅宿泊事業法の施行状況」(観光庁)を元に筆者作成

上位5区は1000件を超える届出数

トップはダントツで新宿区。3,126もの届出数があります。

さらに豊島区が2位で1,638、3位は渋谷区で1,496。

4位・墨田区1,458、5位・台東区1,185と上位5区が1000件を上回り、

6位以降は数百件台になっています。

トップと最下位の差は100倍以上

一方、届出件数が少ない区でいうと、最下位は千代田区で29件。

 22位・目黒区40、21位・江東区69となっています。

いずれも100件以下と極めて少なく、なんと新宿区と千代田区では

3000件・100倍以上の開きがあります。

予想収入と平均家賃で利益をシミュレーション

ではこの分布を、実際の物件探しにどのように活かすべきか——。

今回はワンルームを例に、予想利益をシミュレーションしていきます。

(A)収入(月々の売上)を予想

まずは売上、すなわち月々の予想収入。

これはAirbnbの無料機能で計算することができます。

参考:民泊運営者必見!Airbnbの無料機能でリアルな収入予測を立てる

ここでは、ひと月に10泊(月の1/3)の利用があると仮定して、

条件を揃えて計算してみます。

※稼働可能日数は区の条例により異なります。

(B)支出(固定費)を予想

次に支出、すなわち固定費。

これには、各区の家賃相場を当てはめてみます。

計算を簡略化するために光熱費ほか諸経費はひとまずおいておきます。

「(A)月々の予想収入ー(B)平均家賃」をまとめた、

予想総利益(粗利)および予想利益率は下記の通りです。

(予想総利益を基準に並び替え)

※以下サイトのデータを参考に筆者作成

(A)予想収入の出典:Airbnbでホスティング
(B)平均家賃の出典:【ホームメイト】東京23区の家賃相場

総合力で目黒区に軍配!

結果を順番にみてみましょう。

予想収入

まず予想収入は、123,270円(板橋区)〜260,070円(目黒区)と、

同じ部屋のサイズ・泊数にも関わらず、

区内で2倍以上の開きがあることがわかりました。

平均値は176,016円で、高収入地域は上から順に、

目黒区・港区・渋谷区となっています。

平均家賃

平均家賃も同様に、58,500円(足立区)〜133,800円(港区)と、

2.28倍の開きがあることがわかりました。

平均は83,513円です。安い地域は下から順に、足立区・江戸川区・葛飾区。

反対に高い地域は上から順に、港区・千代田区・中央区となっています。

予想総利益

予想総利益は、1位・目黒区159,070円、2位・渋谷区135,931円、

3位中央区126,524円となりました。

最下位の板橋区は54,410円なので、この差は歴然です。

利益率の1位は中野区64.2%、同率2位で目黒区・杉並区61.2%です。

目黒区に軍配

以上を踏まえ、結論です。

①民泊数が22位=競合がまだ少なく、参入の余地あり
②予想総利益が金額ベースで第1位=その他経費も十分に賄える、且つ
③予想利益率も第2位=ビジネスとして成り立つ可能性が高い

という総合評価により「目黒区」が最も狙い目といえるでしょう。

さまざまな可能性を考える

目黒区のポテンシャル

「でも、目黒区なんて見どころないし、集客力が弱いのでは?」

と思うかもしれません。しかしそれは大きな勘違い。

例えば中目黒駅は渋谷駅からたった1駅・3分の位置。

「あの渋谷のスクランブル交差点まで15分の立地」とくれば、

むしろ豊島区の物件よりよっぽど魅力的に聞こえます。

他にも、目黒川の桜並木、東京都写真美術館など、

観光にぴったりなスポットもたくさん。

重要なのは、ニーズの高いエリアや施設を把握し、

そこへの利便性をしっかりと物件紹介に盛り込むことです。

目黒区が唯一の正解ではない

他にも、予想総利益が10万円以上の区から探す、

予想利益率が平均を上回ることを最低条件とする、といったように、

自分で基準を設けて、物件探しの優先順位としていくのもよいでしょう。

例えば、目黒区が狙い目とはいえ家賃が10万円越えで不安…という人は、

利益率が1・2位の中野区・杉並区は、比較的家賃が安く、

且つ民泊数も平均以下なので、チャンスを探るとよいかもしれません。

また、今回試した例からさらに踏み込んで、

自分のイメージする部屋のサイズ、希望の利益、諸経費等を踏まえ、

より細かにシミュレーションしてみるのもおすすめです。

最後に

今回は、東京23区の民泊の分布をベースに、予想収入と家賃相場を踏まえ、

民泊開業に適したエリアを考えてみました。

ポイントは、

  • 東京23区の民泊の数は、上位は新宿区・豊島区・渋谷区
  • 下位は、千代田区・目黒区・江東区
  • 予想収益を算出すると、金額ベースで第1位は目黒区
  • 競合が少ない×高い収入と利益率が見込める=目黒区が狙い目!
  • 家賃が安く、利益率が1, 2位の中野区・杉並区を狙うのもおすすめ

以上の5点です。

競合の分布・利益の見込みをしっかり把握し、

優先順位をつけながら物件を探していきましょう!

物件を探す場合は、毎日コツコツポータルサイトを見るのがおすすめです。

参考:民泊物件を見つけ出す方法

文=町田紗季子