「民泊、始めてみようかな?」
「追加で物件を探してみようかな?」
とお考えのみなさん。全国の民泊の分布はご存じですか。
大都市は人の往来が多いからニーズがありそうと、
安易に考えるのはやめましょう。
今、狙うべきは、静岡県・山形県・秋田県・福井県です!
民泊数、1位は東京・47位は山形県
観光庁の最新のデータ(2024年2月時点)によると、
日本全国の民泊(住宅宿泊事業)の届出件数は37,819件でした。
直近2ヶ月の間(2023年11月〜2024年1月)には701件増と、
堅調にその数は増えています。
都道府県別に、届出件数をみてみましょう。
出典:「住宅宿泊事業法の施行状況」民泊制度ポータルサイト(観光庁)
この地図の赤色がトップ4都道府県です。
1位はダントツで東京都。13,909もの届出数があります。
さらに大阪府が2位で4896、3位・北海道4,861、
4位・沖縄県1,910と続いている状況です。
2大都市と、旅行先として人気の2つのエリアに
約68%の民泊が集中していることがわかります。
なお、5位以下(地図のオレンジ色)は、上から順に、
福岡県・京都府・神奈川県・千葉県となっています。
一方、届出件数が少ない県はというと、最下位は山形県で36件。
46位・秋田県39、45位・福井県40、44位・ 鳥取県42と続いています。
(地図の青色・水色)
いずれも50件以下と極めて少なく、なぜか日本海側に多い傾向にあります。
民泊届出件数 VS.実際の宿泊者数
さて、これらのランキングをどう活かせばいいのか。
今回は、実際の宿泊者数と比較して、
そのヒントを探ってみたいと思います。
国土交通省が発行する最新の2023年度版『観光白書』によると、
2022年の全国延べ宿泊者数は45,046万人泊でした。
以下のデータを元に筆者作成
「住宅宿泊事業法の施行状況」民泊制度ポータルサイト(観光庁)
「観光白書 令和5年版」(国土交通省)
都道府県別にみてみると、トップは東京都で5,904万人泊、
2位は大阪府で3,052万人泊、3位は北海道2,917万人泊となっており、
民泊届出件数と全く同じ顔ぶれとなっています。
相関関係にあるといえるでしょう。
ただ、民泊の数で4位となった沖縄県ついては、
延べ宿泊数は1,823万人泊で8位に。
延べ宿泊者数4位〜7位は千葉県・神奈川県・京都府そして静岡県でした。
これらは、全体の宿泊数の多さに対して、比較的民泊の数が少ない状況。
つまり、民泊の参入の余地がまだ十分にあるエリアと考えられます。
特に静岡はチャンス
静岡県は民泊届出件数380で13位。
トップ層に比べてその数がかなり少ないので、
チャンスが大きいかもしれません。
商機は下位3県にあり!?
続いて、最下位群のラインナップも確認してみます。
延べ宿泊者数が最も少なかった都道府県は下から順に、
徳島県184万人泊、鳥取県 188万人泊、佐賀県199万人泊、
奈良県207万人泊、高知県256万人泊となりました。
この5県の顔ぶれ。民泊届出件数の下位5県とずいぶんと異なります。
鳥取県と佐賀県を除き、延べ宿泊者数・民泊届出件数それぞれの
ランキングには、別の県が入る結果となっているのです。
つまり、上位層における相関関係とは裏腹に、
下位層は不一致を起こしているといえます。
このことから、民泊届出件数で最下位の3県、山形県・ 秋田県・福井県は、
宿泊者数はそれなりにいる=滞在需要があるにも関わらず、
民泊の供給が少ない状況にあると考えられます。
言ってしまえば、マーケットとしてかなり狙い目です。
特に福井県は、この春、北陸新幹線が開業したことから、
観光客の伸びが期待されているエリアです。
今後の民泊のニーズは高いといえるのではないでしょうか。
最後に
今回は、全国の民泊の分布から、
今後の民泊開業にあたってニーズの高そうなエリアを考えてみました。
ポイントは、
- 全国の民泊の数は、上位が東京都、大阪府、北海道
- 下位は、山形県、秋田県、 福井県
- 延べ宿泊者数と比較すると、上位層は相関関係あり、下位層は不一致
- 静岡県・山形県・秋田県・ 福井県が新規参入エリアとして狙い目
以上4点です。
競合の分布・宿泊の需要を把握し、効果的に民泊を営んでいきましょう!
文=町田紗季子