北陸応援割、街を行き交う多くの訪日外国人……。

観光関連の話題が絶えない昨今。

それもそのはず、日本政府は今、

なんとか観光業を盛り上げようと、さまざまな政策を施しています。

他人事?

いえ、誰でもこの国策に乗っかりビジネスができるチャンスがあります。

それこそが民泊なのです!

では実際にどんな政策があるのか?

改めて概要を整理すべく、今回は「観光政策」編をお届けします。

観光業は政府の推し

日本政府は現在、観光振興に力を入れています。

2007年の観光立国推進基本法を皮切りに観光を「成長戦略の柱」であり「地方活性化の切り札」と据え、推しているのです。

今は2023年より始まった第4次計画を推進中。

キーワードとしては「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」が挙げられています。

公共政策にありがちな抽象的な計画かと思いきや、現代のライフスタイルに合わせた「新・湯治推進プラン」、

船旅や島旅をはじめとする「海事観光」の情報発信強化など。

事細かに注力する分野が書かれており、さまざまな手段で、なんとかして国内の観光業を盛り上げようとする姿勢が伺えます。

普段生活しているとあまりピンと来ないかもしれませんが、例えば、有給休暇の取得推進やワーケーションの普及も、その政策の一部です。 

旅行消費は右肩あがり

では実際のところ、その政策の効果は出ているのでしょうか。

観光庁の最新のデータ(2024年3月時点)によると、コロナ禍以前の日本人の国内旅行消費額は、2012年の19.4兆円→2019年の21.9兆円と、確かに伸びているようです。

さらに1人1回あたりの旅行消費額という点でも、

国内旅行全体は2012年 31,695円→2019年 37,355円

宿泊旅行は2012年 47,444円→2019年 55,054円

日帰り旅行は2012年 14,972円→2019年 17,334円

と、多少の増減はあるものの全体的には右肩上がりであることがわかります。

この堅調は伸びは、人口が減少に転じ、経済の伸び悩んでいる日本社会にあって、かなり重要です。

観光分野は、数少ない成長中のマーケットといえるでしょう。

日本人消費は93.6%

ちなみにここまで日本人旅行者の話をしてきましたが、

日本国内の観光消費の93.6%、つまり大部分は日本人による国内消費となっています。

もっとも、これは2021年の数字ゆえ、コロナによる移動の制限の影響はあるでしょう。

しかし、それ以前、2019年の数字をみても、訪日外国人による消費額は全体の17%ほどにすぎません。

最近はインバウンドが何かと注目されがちですが、昔も今も、日本の観光業のメインは、日本人による日本での消費です。

まずはこの事実を肝に銘じましょう。

でないと、約9割の拡大中の市場を無視することになってしまいます。

時代は「個人」の「経験」へ

こうした観光の盛り上がりの背景には、政策の効果含め、他にもさまざまな要因が考えられます。

少し例を挙げると、例えば産業構造の変化。

日本が得意としてきたモノづくり、すなわち「原材料を仕入れて、製造し付加価値をつけて売る」といった手法は、

工場が国外へ移転したり、国際競争に晒されたりと苦戦を強いられるようになってきました。

さらにそのモノ自体が売れなくなり、変わってコト消費が注目が集まるようになっています。

そんな中にあって、代替不可能な唯一無二のコト、地域ならではの文化や自然、史跡を楽しむような観光経験へと、

消費の矛先がシフトしてきています。

法隆寺や熊野古道は、時代を超えてその地にあるからこそ価値がある。

これらは、工場のように移転できるものでも、化石燃料のように一度の燃焼で消えてしまうものでもなく、

特定の場所に多くの人を惹きつけ続けることができるという点で無尽蔵な資源です。

こうした強力な観光資源が全国に点在していることは日本の強みであり、長期的な観光分野の成長を支えるカギとなっています。

法隆寺などは無尽蔵な資産

他の例としては、旅行の形態の変化も挙げられます。

社員旅行や町内会の慰安旅行といった団体旅行はだんだんと減っていき、一方で家族や友人あるいは一人単位の個人旅行が増えてきました。

こうした、大人数のグループから個人への動きは、カラオケ付きの大きな宴会場がある旅館よりむしろ、

自分たちだけの時間を楽しめる空間へのニーズが高まってきていることを示唆しています。

[参考:ホテルをしのぐ需要!Z世代を取り込もう]

その点、民泊には大きなポテンシャルがあります。

民泊であれば、オーシャンビューの一軒家、キッチン付きワンルームなど、旧来の宿泊施設とは異なる、カスタマイズされた空間を提供できるからです。

さまざまな観光政策の甲斐あって、その市場が拡大し続けている観光業。

個人の経験に価値が見出される今、プライベート空間とローカルな経験を提供できる民泊は、

まさしく求められている宿泊形態といえます。

この国策の波に乗って、民泊ビジネスはもっともっと大きくなっていくはずです。

最後に

今回は、政府の観光政策の大まかな全体像やその背景を踏まえ、今後の民泊のポテンシャルについて考えてみました。

ポイントは、

  • 日本政府は2007年から一貫して観光政策に力を入れている
  • 事実、消費額は伸びており、その内訳は約94%が日本人によるもの
  • 観光業の成長の背景には、個人のコト消費へのニーズも
  • 増え続ける多様な旅の形に応えられるという点で、民泊は需要大

以上4点です。

民泊は誰でも始めることができます。今からでも遅くはありません!

文=町田紗季子