外国人ゲストの対応。事務的な案内に終始していませんか?
もちろんそれは欠かせません。
しかし、高評価&その後の集客を狙うなら、彼らの移動パターンと
ニーズに合わせた追加情報を積極的に発信しましょう。
それは何か? 宿の地域&ゲストの出身国で異なります!
移動パターン、1位は『首都圏滞在型』
2023年のJTB総合研究所の調査によると、訪日外国人の移動パターンは、
- 首都圏滞在型
- 近畿滞在型
- 首都圏→近畿→首都圏
がトップ3でした。
3パターンの合計は全体の26.3%を占めており、
4人に1人以上がいずれかに当てはまる計算です。
訪日外国人というと、”ゴールデンルート”と呼ばれる
『首都圏→中部→近畿型』
が一般的というイメージがあるかもしれません。
しかしそれは13位で、なんとたったの3.4%。
ランキングをみると、旅行のスタイルが多様化していることがわかります。
出典:JTB総合研究所
出身地別の人気、韓国ゲストの『九州滞在型』
出身地別に、もう少し詳しくみてみましょう。
トップ3の首都圏や近畿を含むパターンの人気は当然として、
国ごとに特徴的な傾向・嗜好がみられます。
具体的には、韓国ゲストの『九州滞在型』
台湾・タイの『北海道滞在型』
そしてインドの『首都圏→中部型』と『東北→首都圏型』などです。
中国ゲストは、他の国に比べて移動・滞在する地域の隔たりが少ない、
言い換えれば様々な地域をまんべんなく訪れているという特徴があります。
出典:JTB総合研究所
これらの表の中で、自分が宿を営む地域はどこに当てはまりますか?
序盤・中盤・終盤のどのタイミングで訪れる傾向にあるのか、
それとも滞在型なのか。どの国からの旅行者の需要があるのか。
これらを把握し、彼らが必要としている情報を提供することで、
今後の評価&集客アップにつなげましょう。
序盤・中盤・終盤の時間軸を意識する
では、旅行中に訪日外国人が求めている情報とは?
それは旅の序盤・中盤・終盤で変化するとされています。
JTB総合研究所の調査(同上)によると、
- 序盤:旅先での生活を整える (飲食店の場所、日用品の購入場所など)
- 中盤:短時間の体験 (ホテルから3時間以内の場所、地域イベントなど)
- 終盤:みやげ物の購入場所
にニーズがあるようです。
この3つの旅行の時間軸を意識し、
移動パターンの特徴と組み合わせてみましょう。
例えばこんな感じ。
①博多の宿
『九州滞在型』韓国人の需要が高い
→序盤・中盤・終盤の韓国語版情報を充実させる
例:九州周遊のための鉄道・長距離バス情報 (序盤向け)
地元のお祭り情報 (中盤向け)
地元民イチオシの九州みやげ (終盤向け)
②仙台の宿
『東北→首都圏型』インド人の需要が高い
→序盤〜中盤の英語版情報を充実させる
例:近くのコンセント変換プラグ売り場情報 (序盤向け)
新幹線乗車まで2時間! 駅の近くのおすすめスポット (中盤向け)
なお、首都圏・近畿は訪日外国人全体通じ滞在型ニーズが高いため、
序盤・中盤・終盤の情報を網羅的に準備しましょう。
地元情報をさりげなく
必要な情報を整理したら、テンプレートを作りましょう。
翻訳アプリ*を利用しつつ、一度ネイティブにチェックしてもらえば、
*DeepL、ChatGPTなど
難しいことも怖いこともありません。
ポイントは、地元を知るホストならではの情報も入れることです。
また、タイミングとしては、ゲストとのやり取り中、さりげない感じで。
押し売りするように、20も30も情報を送る必要はありません。
具体例
「15時着の飛行機で着き、その後バスで直接向かいチェックインします」
という旅の”序盤”に滞在するゲストであれば、
「到着は17時ごろ→長旅で疲れているがお腹も減ってきているはず」
と想定できます。
ならば、通常のチェックイン案内にプラスして、
「近くの〇〇は夕飯におすすめ。21時閉店なので注意!」
といった具合に、一言足してみましょう。
通常の事務的やりとりに、+αの地元民おすすめ情報を入れるだけで、
ホストの印象がぐんとアップします。
必要とするであろう情報を先出しすることで、
ゲストのことを考えてくれている、という信頼にも繋がります。
また、慣れてきたら、ターゲット旅行者の言語のみならず、
多言語展開も目指しましょう。
特に、韓国語・中国語は全体的にニーズが高いです。
最後に
今回は、訪日外国人の行動や情報収集のデータから、
ホストが準備すべき追加情報について考えました。
ポイントは、
- 訪日外国人の移動パターンは多様化、特徴は出身国ごとに異なる
- 情報ニーズは、以下のように変化する
・序盤は「旅行先での生活を整えること」
・中盤は「短時間の体験」
・終盤は「みやげ物の購入場所」 - ゲストのタイプとタイミングから、求められる内容のテンプレを作成
以上の3点です。
面倒くさがらず、さまざまなテンプレートを準備し、
訪日外国人に滞在を楽しんでもらいましょう!
文=町田紗季子