国内観光客、訪日外国人、家族連れ、ビジネスマン……。

民泊のターゲットをどんなゲストにすべきか、お悩みのみなさん。

民泊利用希望者の属性はご存じですか?

今、潜在ニーズがあるのは若者たち。そう、Z世代です!

世界の民泊利用者

Airbnbの統計データによると、2023年、

世界では4億4820万泊の民泊の利用がありました。

2022年は3億9370万泊だったため、

この1年間で約14%も伸びていることになります。

では一体、誰が利用しているのでしょうか。

まず男女別でみてみると、世界平均で48.19%が男性、

51.81%が女性となっています。ほぼ同程度です。

次に年齢別にみると、

  • 18〜24歳 17.53%
  • 25〜34歳 30.41%
  • 35〜44歳 20.30%
  • 45〜54歳 14.33%
  • 55〜64歳 10.52%
  • 65歳以上 6.92%

となっています。

出典:Enterprise Apps Today

Airbnbの創業は2008年。

それ以降に成人し、自分で宿を予約し旅行をするようになった25〜34歳。

いわゆるミレニアル世代の利用者が多いことがわかります。

世界的な民泊の利用者の増加から推察するに、この世代では既に、

民泊が宿泊先の選択肢として定着しつつあり、リピーターとなっている、

もしくは同世代間で利用者が広がっていると思われます。

今後も安定した需要が見込める、主要ターゲットといってよいでしょう。

では反対に、まだあまり民泊が定着していない、

今後の伸びが期待できるマーケットとは? 

それは、現在17.53%を占める18〜24歳。いわゆるZ世代です!

Z世代の友達との旅行は、民泊>ホテル

Z世代を対象としたLDKプロジェクトの調査によると、

仲のよい友人との旅行における宿泊先の希望は、

  • 「民泊」 51.3%、
  • 「ホテル」 46.8%
  • 「わからない・答えられない」 1.8%

となっています。

民泊がホテルの宿泊希望を上回る、驚くべき結果です。

出典:LDKプロジェクト「Z世代の旅行先の宿選びに関する実態調査」 

民泊を希望する理由はというと、

  • 「個性的な宿泊施設も多いから」74.1%、
  • 「大人数で宿泊できる施設も多いから」59.3%
  • 「価格が安いから」59.3%
  • 「現地の生活を体験できるから」55.6%

が主な回答となっています(複数回答)。

以上のことから、宿の個性を出すことで、

Z世代の需要を取り込める可能性が高いといえます。

とりわけ大人数を収容でき、一人当たりの価格を抑えられ、

地域ならではの特徴を出せる、地方の一軒家は、かなりチャンスです。

Z世代の目的は滞在!?

では、どのように個性を出せばいいのでしょうか。

彼らが民泊に望むサービスからヒントを探ってみましょう。

同調査の「あったら嬉しいサービス」に対する回答は、

 1位「高速Wi-Fi」 67.6%
 2位「清潔なアメニティ」 50.5%
 3位「おしゃれな家具や空間デザイン」 48.6%
 4位「サウナ」 40.5%
 5位「BBQ設備」 32.4%

となりました(複数回答)。

出典:同上

Wi-Fiは今やデフォルトとして、アメニティも充実させることで、

まず、全体的な満足度アップが狙えそうです。

空間デザインを重要視する傾向は、

2024年の旅のトレンドとも一致しています。

雰囲気づくりの優先度は高いといえるでしょう。

詳しくはこちら

興味深いのはサウナやBBQ設備の支持です。

宿を紹介する際、つい利便性や周辺の観光地の近さなどを強調しがちです。

しかし、これらの回答は、民泊が必ずしもそのような移動や観光の拠点

としてみられていないことを示唆しています。

つまり、Z世代にとって民泊は、プライベート空間での滞在。

午後にBBQ、夕方にサウナでととのって、

夜はのんびり動画をみたりゲームをしたり…と日がな滞在し、

友人と時間と空間を共有することを楽しむ場なのかもしれません。

このようにZ世代の潜在ゲストを想像してみると、

ホテルと差別化し、個性を出すためにやるべき作戦が

みえてくるのではないでしょうか?

例えば、雑草だらけの庭。

寝に帰るだけの宿だったらそのままでもいいかもしれませんが、

BBQ需要がこんなにもあるとなると話は別です。

まずはきれいに刈り込んで、芝を整えて、

アウトドアチェアを置いてみるところから始めてみるのはどうでしょうか。

あるいは長時間の滞在を念頭に、壁を白く塗ってプロジェクターを準備し、

ホームシアターの設備を充実させるなどもよいかもしれません。

今後の民泊に重要なのは、Z世代が期待するような「個性」であり、

長時間滞在したくなるような「空間」づくりです。

こうしてユニークさを打ち出すことができれば、

一般的な宿泊に求められるサービスや立地で競合と戦い、

価格の低下に陥るような事態も回避できます。

Z世代はもちろん、民泊に慣れ目の肥えたミレニアム世代のゲストへの

訴求にも繋がり、集客アップが期待できます。

最後に

今回は、Airbnbの利用者属性とZ世代の宿選びに関する調査データから、

今後の民泊ニーズについて考えてみました。

ポイントは、

  • 民泊の利用者は現在、ミレニアル世代が多い
  • 潜在利用者を取り込むなら民泊利用の希望度が高いZ世代に可能性あり
  • 彼らの宿選びのポイントは「個性」
  • 他の施設との差別化を図りつつ、滞在したくなる空間づくりに注力

以上の4点です。

潜在ゲストの民泊への期待に答え、宿の集客を伸ばしていきましょう!

文=町田紗季子