民泊を始めて慣れてきたら、別の物件を探してみようか、扱う物件をもっと増やそうか、と考える人も多いはずです。
しかし管理物件の増加は、サービスの質や評価の低下のリスクと隣合わせでもあります。
では一体、何件くらいまでなら高評価を維持しやすいのでしょうか?
結論はズバリ、10件が目安です!
「スーパーホスト」は信頼できるホストのステータス
集客のためには、高評価のホストであり続けることが重要です。
ゲストの評価ポイントは個人のニーズに応じてさまざまですが、端的に優れたホストであることを示すツールとして、
Airbnbでは「スーパーホスト」という称号を用いています。
スーパーホストになるには、受け入れ実績や返答率など、Airbnbが定めた要件を満たす必要があります(詳しくはこちら)。
その指標の一つが、「総合評価4.8以上を維持」というものです。
この総合評価というのはすなわち、清潔さやコミュニケーションといった合計6つの項目について、
宿泊したゲストが5段階で評価した口コミのスコア。
全項目で基本満点レベルのサービスを提供できている=総合力の高い信頼できるホストである、
ということを未来のゲストにアピールできる点で、スーパーホストというステータスは有効といえます。
しかし、管理する物件数が増えると、この「4.8」の維持が難しくなりがちです。
1件あたりに費やすことのできる時間が減る一方で、より多くの人と関わることになり、マネジメントは複雑になっていきます。
とはいえ、もう少し物件数を増やしたい、ビジネスを拡大したいと考えるのも当然です。
では、スーパーホストであり続けながら、物件を増やしたい場合、現実的に何件程度まで可能なのでしょうか?
日本全国のスーパーホストを大調査
この問いに答えるべく、今回は日本全国のAirbnbのホストの中から、
執筆時(2024年7月9日)にスーパーホストとなっているホストをランダムに80人抽出。
それぞれの評価スコアとリスティング数(取り扱い物件数)を調査しました。
その結果をまとめたグラフがこちらです。
X軸に評価スコア、Y軸にリスティング数をとり、スーパーホストの分布を示しています。
画像脚注:スーパーホスト80人のデータを元に筆者作成。
グラフの簡略化のため、同じ評価スコア・リスティング数のホストは一つの⚫️で表している。
リスティング数が少ないほど、評価スコアは高い傾向
まず評価スコアは、平均値は4.90、中央値もほぼ同じで4.91となりました。
スーパーホストの要件である4.8と取り得る最高5.0の、ちょうど真ん中くらいです。
最高の評価スコアは5.0満点。今回対象としたスーパーホストの中で3名いました。
一方で、最も低い評価スコアは4.74でした。
グラフにもあるように4.8を割っているスーパーホストはちらほら見受けられます。
Airbnbの審査のタイミングなどにもよるのか、
評価スコアが4.8以下であってもなおスーパーホストであり続けているホストもいることがわかりました。
続いてリスティング数です。
平均値は3.62件、中央値は2.00件となりました。
最も多いリスティング数は26件。反対に最も少ない場合は1件でした。
傾向としては、リスティング数が少なければ少ないほど、
評価スコアがより高くなっています(グラフの黄色のトレンドライン)。
全ホストの最上位層に当たるスーパーホストにおいても、わずかではありますが、
物件数の増加と評価スコアの低下には相関関係があるといえそうです。
そして、グラフの下層部の点の密集具合からわかるように、スーパーホストのリスティング数は10件以下がほとんどです。
その数は76/80件=95%におよびます。
したがって問いの答えとしては、
スーパーホストを維持しながらリスティング数を増やすなら10件が上限の目安といえるでしょう。
ただし今回の調査では、15件を扱うスーパーホストが2名、19件が1名、26件が1名いることも明らかになりました。
よって15件以上を管理しながらスーパーホストを維持することも不可能ではない、と思われます。
最後に
今回は、民泊事業の拡大と高評価維持のバランスを見極めるべく、
Airbnbのスーパーホスト80人の評価スコアとリスティング数を調査してみました。
ポイントは、
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物件数の増加と評価スコアの低下にはある程度相関関係あり
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Airbnbのスーパーホストの平均リスティング数は3.62件
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スーパーホストのステータスを維持しながらリスティング数を増やすなら目安は10件
以上3点です。
今後、物件を増やしていく参考になれば幸いです。
文=町田紗季子