RevPAR(レブパー)とは
宿業界には多くの専門用語が有ります。全ての用語を把握するには難しいです。
そんな中、RevPARは最初に学ぶべき用語です。
RevPAR(Revenue Per Available Room:販売可能な部屋一室あたり収益)とは…
宿業界の利害関係者が、その物件の収益の健全性を確認するための唯一無二の最重要指標です。
なぜRevPARが最も重視される指標なのか
RevPARの分析には、稼働率、客室単価、いつリノベーションすべきか、何に投資すべきか、何の費用を抑えて投資原資を確保すべきか…などの要素が総合的に含まれます。
故に、このRevPARを向上できるかは経営者の手腕にかかっています。
RevPARは外的要因である、コロナウイルスのなどの要因でも大きく変動するため、RevPARの上下すなわち経営者の手腕とは言い切れないという議論があります。
ただ、星野リゾートは平時からブランド力を高め、コロナなどの危機のために対策を打ってきたため、RevPARはコロナ危機の際も高く、大きく落ち込みませんでした。
故に、RevPARは平時だけでなく非常時での経営者の手腕も反映するとも言えます。
他社のRevPARと自社のRevPARを比較し、コロナの2020年のRevPARが自社の方が落ちていない場合、競合より自社の方がうまく経営できてたと言えます。
RevPARの最も簡単な使い方
例えば2020年2月時点で、「過去である2020年の1月の月間RevPAR、そして2019年の1月の月間RevPARを比較し、2020年は2019年よりRevPARはどう上下したか」を、未来の政策立案のために分析します。
RevPARを年単位で検証する理由
宿業は、月毎に売上が大きく上下します。
例えば、閑散期の2月と、桜と春休みと転勤の時期が重なる3月は売上が3倍違うことも有ります。すると、RevPARも3倍違うことが発生します。
RevPARは上記のような月毎の比較に使いません。
RevPARは2019年の1月と、2020年の1月のRevPARを比較し、閑散期と繁忙期の要因以外でどのような要素が売上を上下させたのか分析するのに使います。
例えば、ある宿の2019年1月と2020年1月は特に何も運営上の違いは無かったとします。
しかし、2019年はBooking.comのクチコミ数が10個で平均点数8.9だったとします。
そして、2020年はクチコミ数が80個で平均点数9.1だったとします。
2020年のRevPARが上昇したのは、クチコミ数とクチコミ平均値の向上がRevPAR上昇に寄与したと判断できます。
そして、現場担当者はクチコミ数やクチコミ平均点をさらに上昇させ、RevPARを向上させる具体的な政策を立案できます。
また、2019年全体の年間RevPARと、2020年の年間RevPARを比較して年間を通じたRevPARがどれくらい上下したのか、何が要因か、今後はどのようにRevPARを向上できるのか、といった議論も可能です。
ADRについて
RevPARを向上させるには、ADR(Average Daily Rate、平均客室単価)か稼働率の向上が必要です。ADRとRevPARの関係は後述します。
ADRを上昇させるためには、販売数を増やすのではなく、単価をあげる必要があります。
例えば食事やマッサージをセット売りして単価を上昇させるなどの具体策が考えられます。安易に安売りせず、高い価格で販売する方法が必要です。
他の例ではリノベーションして部屋の付加価値をあげ、値段をあげるなどの具体策が有ります。
稼働率について
RevPARを上昇させる要素として、稼働率があります。稼働率とRevPARの関係は後述します。
稼働率を上昇させるには、単価は気にせず安売りすれば上昇します。ただ、それだと儲かりません。単価が下がるとADRが下がり、RevPARも下がります。
故に、単価を単に下げて稼働率を上昇させる具体策以外には、
- 早割引(早割購入した人にセット売りを提案して単価を上げる事を検討)
- 直前割引(売れ残るよりましの場合だけ利用)
- 人工知能によるダイナミックプライシング(経験や直感による値下げを防ぐ)での適正な価格の設定
- 販売先OTAの増加
- 自社HPの予約フォームのデザイン良化による、予約率の向上
などの具体策が考えられます。
RevPARとADR、稼働率の関係図
RevPARの計算式=ADR*稼働率 です。
RevPARは、安売りに頼らずに売上を上昇させる方法を探るために参考する万国共通の指標です。
RevPARをあげるには、ADRか稼働率をあげるのかを検討します。
上記画像例では全室数とは、1棟1部屋が30泊で30とします。
販売済室数とは、1ヶ月を30日として、15日/30日は売れたという意味です。
もし、上記画像の場合、1棟2部屋で、全室数は60(30日*2部屋)となります。
最後に
RevPARは経営者が理解するのは必須の数字です。
逆に言えば、現場の担当者がRevPARを理解してRevPARを向上する策を経営者に進言し、実際に実行して本当に成果が上がったら、昇進する可能性はうなぎのぼりです。
RevPARを実際に計算する練習問題を以下のページで公開しています。もしよければこちらもご覧ください。
複雑な計算式のエクセルは必要ありません。まずは、簡単に手打ちでRevPARを練習問題から計算してみましょう。